競馬関係者にとって、サラブレッドは自分たちの欲望を満たす道具に過ぎないのです。
従って、お金を生み出さないと判断された馬の運命は悲惨。故障して休養している馬や、レース中に故障して安楽死処分になった馬にはJRAから見舞金が支払われるという制度があり、馬主と調教師が相談の上、お金にならないと判断された馬は脚にヒビが入っていると知りつつ、見舞金狙いで出走させるという残酷な話も当たり前。さらに競走馬保険に入っていればなおのこと、保険金殺人まがいのことが平然と行われている。
これは高値で取引された馬とて同じ。馬は経済動物なのです。
人間の欲望の一つの形として象徴的だったのが、今年のセレクトセールで誕生した「6億円馬」。たいてい牝馬は牡馬の半額で取引されるのだが、牝馬なのに史上最高値がついたというのもまた、センセーショナルであった。
競馬界を牛耳る社台グループが主催するこのセールは、良血馬が目白押しなので、毎年大盛況。
テレビで話題のフサイチの関口房朗氏や、アドマイヤの近藤利一氏などの大物馬主たちが、互いに自分こそがナンバー1だという意地の張り合いから、値がどんどんつり上がり、億を超える値段で落札される馬が続出する。
人間の欲と意地の張り合いから、その馬の持つ価値以上の値段がつくので、結局、高馬は期待したほど走らないという現実につながる。
さてその6億円馬だが、ある関係者は「テレビ馬」と称した。セレクトセールは、グリーンチャンネルやネット上でライブ中継をしている。そして、史上最高の落札価格ともなれば、マスコミが取り上げないわけはない。それが、狙いの一つだったのです。そのもくろみは当たって、NHKのニュースでも取り上げられている。
まさにこの牝馬は「テレビ馬」。
社台グループが主催のセールで、社台グループ系のノーザンファーム生産のこの6億円馬。牝馬だから、競走馬引退後はまた社台系の牧場で繁殖牝馬になるのは必至。この取引には、社台が裏で糸を引いていたという情報が多方面から入っている。しかも、社台グループ自身が6億というお金を出すわけではない。その6億という莫大な馬代金の利益はすべて社台グループのものなのです。
これには社台グループの巧みな商売術が浮き彫りになっている。この6億の牝馬を巡り、社台、管理するであろう調教師、セリ代理人が値を釣り上げるために影で結託。競馬社会の裏に精通していない、しかし金だけは持っている馬主に金を出させて、話題作りと金儲けをしたというわけ。(馬代金を得た丸儲けの社台も、多分、結託した人たちには何らかの謝礼はしたという話も伝わっている。)
そしてこの時、最後まで競り合ったのがUAE・ドバイのモハメド国王率いるダーレージャパン。もしダーレーに持っていかれていたら、引退後は社台側に戻って来ることはない。実はディープインパクトが引退後、ダーレーに購買されるという話があり、ここは日本生産界トップの社台としても負けられない攻防だったのです。
ダーレーの資本力は、日本のどんな金持ちでも太刀打ちできない。ダーレーがJRAの馬主免許を取得できない影には、日本一のオーナーブリーダーの座を渡したくない、自分中心に競馬が回ってほしいともくろむ社台グループの圧力があったと言われている。だからなおさら、ここは社台の力をダーレーに見せつけておきたかったというわけ。
今回の6億円馬のように、怪物種牡馬、サンデーサイレンスが亡き後、社台グループが日本の競馬の主導権を握り続けるために、今後もあの手、この手を使ってくるのは目に見えている。彼らの裏操作を知ることが、馬券必勝への道でもあるのです。
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